レジスタントスターチ

レジスタントスターチとは

レジスタントスターチとは、体内で消化されない(レジスタント)でんぷん(スターチ)のことです。従来、食事から摂取したでんぷんは、小腸で完全に消化、吸収され、体のエネルギー源になると考えられてきました。しかし、近年の研究で、消化酵素で分解されずに大腸まで届くものの存在が明らかになりました。それがレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)です。

減少する日本人の摂取量

でんぷんは穀類やいも類に多く含まれており、レジスタントスターチも、普段のご飯やパン、麺、いも類を使った料理から自然に摂取できる成分です。ところが、近年日本では主食である穀類の摂取量が減少しており、これまで摂れていたはずのレジスタントスターチの摂取量も減ってきていると考えられています。

厚生労働省「国民健康・栄養調査」(国民栄養調査)より

レジスタントスターチの種類

レジスタントスターチは、性質の違いにより、「RS1」から「RS4」までの4つのタイプに分類されます。「RS1」は穀類の外皮や細胞壁などに包まれていて物理的に消化酵素が作用しにくいもの、「RS2」は未糊化の生でんぷんやでんぷん粒子自体に消化されにくい構造のもの、「RS3」は調理(糊化)後に冷却あるいは放置されて形成するもの(老化でんぷん)、「RS4」は酵素的、物理的、化学的な処理を施したでんぷん(加工でんぷん)です。小麦や小麦粉においては、例えば、全粒粉に「RS1」 、高食物繊維小麦に「RS2」などが含まれています。

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レジスタントスターチの働き

レジスタントスターチは、善玉菌のエサとなって発酵し、善玉菌の増殖をサポートする発酵性食物繊維の一つです。発酵性食物繊維は、種類によって腸内で発酵する場所が異なりますが、レジスタントスターチは腸の奥まで届いて、そこに生息する善玉菌であるビフィズス菌や酪酸菌等のエサになります。

発酵によって酪酸菌がつくり出す酪酸(短鎖脂肪酸の一種)は、腸の主要なエネルギー源であり、腸自体の健康に役立つ効果も期待できます。また、「RS2」に分類される高アミロースでんぷんには、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする、血中のコレステロールを低下させるといった作用があることも報告されています。
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監修

大妻女子大学 教授/日本食物繊維学会 理事長
青江誠一郎